- 院内保育の定義、特徴、メリット、デメリット
- 院内保育士の具体的な仕事内容と求められるスキル
- 院内保育士の給与、待遇、転職のポイント
院内保育はきつくて続けられない。院内保育以外でどんな保育園があるのかと、転職を考えていますか?
確かに、院内保育には夜勤や変則勤務など大変な面もあります。
この記事では、院内保育の実態や保育士の仕事内容、給与・待遇、さらには転職のポイントまで詳しく解説しています。
例えば、夜勤手当や変則勤務手当により、一般の保育士よりも高い年収を得られる可能性があることをご存知ですか?
院内保育の全体像を理解することで、あなたの不安や疑問が解消され、新たなキャリアが広がりますよ。
院内保育とは
院内保育は、医療従事者の子育て支援と人材確保を目的とした独特な保育システムです。
一般的な保育所とは異なり、病院や企業の敷地内または近接地に設置され、主に職員の子どもを対象としています。
院内保育は、医療従事者の多様な勤務形態に対応し、仕事と育児の両立をサポートする重要な役割を果たしています。
では、院内保育の具体的な定義や特徴、そして運営形態の違いについて詳しく見ていきましょう
院内保育の定義と特徴
院内保育とは、病院や企業が従業員の子どもを預かる保育施設のことを指します。
例えば、早朝や夜間の保育、休日保育など、一般の保育所では対応が難しいサービスを提供しています。
また、少人数制や異年齢保育が多いのも特徴の一つです。
これにより、きめ細やかな保育が可能となり、子どもたちの社会性や協調性を育むことができます。
このような特徴を持つ院内保育は、働く親にとって心強い支援となっているのです。
院内保育の種類(病院運営型・企業委託型)
院内保育には主に2種類あります。
- 病院運営型
- 企業委託型
病院運営型は、病院が直接運営し、医療機関の特性を活かした保育を行います。
例えば、看護師の勤務時間に合わせた24時間保育や、病児保育の併設などが特徴です。
一方、企業委託型は、専門の保育関連の会社が運営を担当します。
保育関連の法人が運営していることもあり、保育の質の向上や効率的な運営が期待できます。
例えば、大手保育チェーンのノウハウを活かした教育プログラムの導入や、ICTを活用した保護者との連携強化などが挙げられます。
どちらの型にも長所があり、自分の目的や目指す保育士としての姿によって選択するのが良いでしょう。
施設の保育理念や目標を事前に調べておくといいですよ!
院内保育で働くメリット
院内保育のメリットは福利厚生が整っている点や医療連携による安心感が最大のメリットと言えます。
また、少人数制と異年齢保育により、子どもたちの社会性や協調性が育まれる環境が提供されています。
ここからは、院内保育で働く保育士のメリットを見て行きましょう。
安定した勤務環境と福利厚生
院内保育の一つの大きなメリットは、安定した勤務環境と充実した福利厚生です。
例えば、健康保険や各種手当が充実しているため、保育士自身も安心して働けます。
大手医療機関では、育児休暇や病児保育の提供など、親としての負担を軽減するサポートが充実しているところもあります。
また、預ける親としては職場と保育施設が同一敷地内にあるため、保護者は勤務後すぐに子どもと過ごす時間を確保でき保護者支援がスムーズに行える点も大きなメリットです。
少人数・異年齢保育の経験
院内保育では、少人数で異年齢保育を実施していることが多く、大きな魅力となっています。
異年齢保育では、年齢の違う子どもたちが一緒に過ごすことで、自然と助け合いや思いやりの心が育まれる環境を提供します。
年上の子どもが年下の子どもに対して面倒を見たり、遊びを通じてリーダーシップを発揮する場面が見られます。
実際に、ある院内保育施設では、年長の子どもが自主的に絵本の読み聞かせを行うなど、異年齢保育の効果が顕著に現れています。
このような経験は、子どもたちの社会性や協調性を育む上で非常に有益です。
保育士にとっても、異年齢保育は多様な保育スキルを磨く機会となります。
医療連携による安心感
院内保育のもう一つの大きなメリットは、医療連携による安心感です。
病院内にある保育施設は、緊急時に迅速に医療対応ができるという大きな安心感があります。
園児が突然体調を崩した場合でも、すぐに医師の診察を受けることができます。
定期的な健康チェックや感染症対策も徹底されているため、保護者は安心して子どもを預けることができます。
近年、夏の平均気温が上昇しつつあります。
室内の保育といっても、熱中症になる子どもたちも少なくなりません。
医療連携の充実により、子どもの健康状態に留意しつつ保育へ集中する事ができます。
保育士だけでは対応できない部分も病院併設だから安心です。
院内保育のデメリット
院内保育は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
- 夜勤や変則勤務に対応が必要
- キャリアアップの機会が限られる
- 保護者との距離感が難しい点
これらの要素は保育士にとって大きな負担となり、ストレスの原因となる人もいます。
院内保育に従事する前に、これらのデメリットを理解し、あなたが対処できる問題か見極めましょう。
具体的なデメリットについて詳しく見ていきます。
夜勤や変則勤務への対応
院内保育では、24時間体制の医療現場に対応するため、夜勤や変則勤務が求められるケースもあります。
これは保育士にとって大きな負担となり、身体的・精神的ストレスの原因となることがあります。
厚生労働省の報告によると、夜間保育の実施により、病院で働く職員の3歳児までの子どもを預けることが出来るようになりました。
夜間保育の実施により、院内保育施設の保育しは夜勤勤務のシフトに対応する必要があります。
また、保育士は家族との時間が減少し、ワークライフバランスの維持が難しくなる可能性もあります
日勤の保育士に比べると、給与面はよい物の、体調面の管理が難しい場合もあります。
生活リズムはとても大切で「自律神経」の乱れで体調を崩すこともあるので対策が必要です!
キャリアアップの機会の少なさ
院内保育士のキャリアアップには、一般の保育施設とは異なる課題があります。
- 規模が小さいため、在籍の保育士が少ない
- 外部研修に行くシフト的な余裕が無い
- 小規模なため認可保育園ほど細かい役職が設定されていない
また、処遇改善加算を施設が受けられない(認可外保育施設等)こともキャリアップの機会が少ない原因の1つと言えます。
キャリアアップの方向性としては、医療保育専門士の資格取得や、病児保育のスペシャリストを目指すなどの選択肢があります。
自己啓発や院外での学びを積極的に取り入れることで、キャリアアップの可能性を自身で広げることができるでしょう。
自己研鑽に励める職場は保育士としてのモチベーション維持に繋がりますよ!
保護者との距離感の難しさ
院内保育における保護者との距離感の維持は、保育士にとって大きな課題の一つです。
病院職員が保護者であるため、職場の人間関係が保育現場に影響を与えやすく、適切な距離感の保持が難しくなります。
保護者との頻繁なコミュニケーションは、過度な親密さや緊張感を生む可能性があり、通常の保護者支援よりも高度な対応が求められます。
また、医療従事者である保護者の高い専門性や要求水準に応えるプレッシャーも大きいと言えるでしょう。
保育士は、保護者の仕事の特性を理解しつつ、子どもの最善の利益を考慮した対応が必要となります。
院内保育における保護者との距離感は、園独自で設けたコミュニケーションガイドラインや保護者支援についての園内研修等、どれだけ取り組んでいるかを働く前に確認しておくとスムーズに対応することができます。
保育士と保護者の相互理解を深めるための取り組みを通じて、良好な関係構築と適切な距離感の維持が可能となります。
院内保育士の仕事内容
院内保育士の仕事は、医療従事者の子どもたちを預かり、安全で充実した保育環境を作ることです。
一般の保育園とは異なり、病院という特殊な環境下での保育が求められます。
24時間体制の医療現場に合わせた柔軟な対応や、医療知識を活かした保育が特徴です。
また、少人数制や異年齢保育が多いため、きめ細やかな対応が求められます。
院内保育士の具体的な業務内容や求められるスキルについて詳しく見ていきましょう。
1日の流れと業務内容
院内保育士の1日は、早朝からの受け入れに始まり、夜間保育まで多岐にわたります。
総務省の「院内保育所の設置状況等 調査の結果」の報告書によると、院内保育所の約6割が24時間保育を実施しています。
具体的な業務内容
- 子どもの受け入れと健康チェック
- 年齢に応じた保育活動の実施
- 食事・おやつの提供と介助
- 午睡の見守り
- 保護者との連絡や報告
- 保育記録の作成
- 夜間保育(該当する場合)
特に、医療従事者の不規則な勤務に対応するため、柔軟なシフト制や急な延長保育にも対応する必要があります。
これらの業務を通じて、子どもたちの健やかな成長を支援しています。
求められるスキルと資質
院内保育士には、一般の保育士以上に高度なスキルと特定の資質が求められます。
- 医療知識:基本的な医療用語や感染症対策の理解
- 柔軟性:不規則な勤務形態への適応力
- コミュニケーション能力:医療スタッフや保護者との円滑な情報交換
- ストレス耐性:緊急時の冷静な対応
- 多様性への理解:異年齢保育や特別なニーズへの対応力
これらのスキルを磨くため、多くの院内保育施設では定期的な研修や勉強会を実施しています。
研修に関する調査
※日本医労連 2020 年度院内保育所実態調査結果
- 「自治体主催」57.3%(62.8%)
- 「保育団体主催」35.0%(41.5%)
- 「病院主催」29.3%(26.8%)
- 「企業主催」26.8%(28.7%)
また、医療機関との連携を通じて、専門性を高める機会も提供されています。
これらの取り組みにより、質の高い保育サービスの提供が可能となっています。
保育士1年目でも、園内研修や外部研修が充実していれば知識も増えて不安から自信に繋がることも多くあります。
院内保育士の給与と待遇
院内保育士の給与と待遇は、一般の保育園と比較して魅力的な面が多いこともあります。
24時間体制の医療現場に対応するため、夜勤手当や変則勤務手当が加算されることが多く、結果として高い給与水準となる傾向があります。
また、病院の福利厚生制度が適用されることで、充実した待遇を受けられることも特徴です。
しかし、勤務形態の特殊性から、ワークライフバランスの維持に課題を感じる保育士も少なくありません。
ここからは、具体的な給与水準や待遇の詳細について見ていきましょう。
給与水準と手当の特徴
院内保育士の給与水準は、一般の保育士と比較して高めに設定されていることが多いです。
院内保育士の場合、夜勤手当や変則勤務手当が加算されるため、平均年収は約380万円から430万円に達することがあります。
具体的には、夜勤手当(1回あたり5,000円から8,000円)や休日出勤手当(1日あたり3,000円から5,000円)などが加算されます。
さらに、年2回のボーナスも支給されるケースが多いです。
このように、院内保育士の給与は一般の保育士よりも高く設定されている場合があります。
院内保育所への転職のポイント
院内保育所への転職を考える際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
まず、求人の探し方と選び方が転職成功の鍵となります。
次に、転職を成功させるための準備と心構えも重要です。
これらのポイントを理解し、実践することで、より良い職場環境を見つけることができるでしょう。
具体的な求人の探し方と選び方、そして転職成功のための準備と心構えについて見ていきましょう。
求人の探し方と選び方
院内保育所の求人を探す際には、いくつかの方法があります。
まず、求人サイトや転職エージェントを活用することが一般的です。
例えば、マイナビ保育士や求人ボックスなどの専門サイトでは、最新の院内保育所の求人情報を簡単に検索できます。
求人を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう
- 勤務時間とシフト:24時間体制の病院では、夜勤や変則勤務が求められることが多いため、自分のライフスタイルに合ったシフトかどうかを確認
- 給与と手当:夜勤手当や休日出勤手当など、給与の詳細を確認し、総合的な収入を把握
- 福利厚生:健康保険や厚生年金、退職金制度など、病院の福利厚生
転職成功のための準備と心構え
院内保育所への転職を成功させるためには、事前の準備と心構えが重要です。
自己の長所・短所を箇条書きで書き出す。
これにより、面接時に自信を持って自己PRができるようになります。
院内保育所で求められるスキルや経験を具体的に記載することが重要です。
例えば、夜勤経験や医療知識がある場合は、それを強調することでアピールポイントとなります。
初めて院内保育施設を面接する場合は、あなたの保育に対する熱意・あなた自身が思う医療施設で働く保護者にたいして保護者支援の重要性を伝えるといいでしょう。
面接では、院内保育所の特殊な環境に対する理解や、自分がどのように貢献できるかを具体的に説明することが求められます。
面接先の病院の情報や併設している保育施設を調べておき、具体的な質問に対する回答を準備しておくと良いでしょう。
最後に、柔軟性と適応力を持つことが大切です。
院内保育所では、急なシフト変更や緊急対応が求められることが多いため、ストレス耐性を高めることも重要です。
面接はとっても緊張しますよね。
でも、しっかりとあなたの保育士としての想いや面接先の保育理念など共感した部分を伝えることで緊張もほぐれていきます。
まとめ
院内保育は、医療従事者の子どもを預かるための特殊な保育施設であり、「つらい」と感じる場面やメリットを紹介してきました。
また、院内保育の実態調査を具体的に解説し、転職のポイントについて詳しく解説しました。
院内保育がつらい理由のポイント
- 院内保育のメリットとデメリット:24時間体制の勤務に対応できる柔軟性や医療連携の安心感がある一方、夜勤や変則勤務の負担、キャリアアップの機会の少なさ
- 給与と待遇:一般の保育士よりも高い給与水準と充実した福利厚生が魅力、勤務形態の特殊性からワークライフバランスの維持が難しい
- 転職のポイント:求人の探し方と選び方、転職成功のための準備と心構えが重要。自己分析や面接対策をしっかり行い、シフトの柔軟性と適応力を持つ
院内保育の特性を理解し、適切な対策を講じることで、やりがいと充実感を得られる職場環境を見つけることができます。
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